いざバイクに乗りたい!と思って、まず必須となるのが『免許』です。
取得パターンは複数ありますが、基本的には教習所へ入校し、所定の講習を受けて卒検を合格するパターンが多いでしょう。
私自身も自動車の普通免許を所持していた状態で教習所へ入校し『普通二輪』、『大型二輪』を続けて取得しました。
本記事では教習所入校から免許を取得するまでについて私自身の経験を踏まえて紹介します。
教習所での講習内容と各セクションのコツについても説明します。
免許取得を考えている方の参考になればと思います。
自動二輪の免許(普通自動二輪・大型自動二輪)
自動2輪の免許といっても2種類存在します。
- 普通自動二輪免許・・・排気量が50cc超~400ccまでのバイクを運転できる免許
- 大型自動二輪免許・・・排気量が400cc超のバイクを運転できる免許
この普通・大型の400ccという境目については賛否あります。
輸入車(欧米)では600cc前後を『ミドルクラス』と考えられており、輸入車を検討する際には大型自動二輪の免許の取得が必然でした。
しかし、ここ数年は新興国の需要に合わせて普通自動二輪で乗れる輸入車のラインナップが増えてきているようです。
自分の乗りたい車種がある程度決まっていれば、その排気量に合わせて必要な免許が決まります。
大型自動二輪の免許を取得しても、大型自動二輪に乗らなければ取得にかかる費用が無駄となります。
ご自身の想定にあった選択をしてください。
免許取得のための費用
免許取得に必要な費用については、条件によって変わってきます。

平均的にはこれくらいになるかと思いますが、具体的な金額については入校を検討している教習所それぞれが設定していますので、検討される教習所の案内を参照してください。
教習所ごとに”キャンペーン”などを実施しているところがありますので、調べたうえでお得なタイミングを狙うのもありかと思います。
主な講習内容

バイクの引き起こし
バイクって重いんです。
昔よりも軽量な素材が使われているといっても、やっぱりガソリンタンクから、エンジン、ミッションなど駆動系が凝縮されているのは自動車と変わりません。
間違いなく『想像しているより重い』のです。
自分の愛車を手に入れて気を付けて丁寧に乗っていたとしても、ついうっかりで転倒させてしまうことはあり得ます。
- サイドスタンドの出し忘れ
- 前走者の急な減速、停止
- 長時間走行の疲労による注意不足
バイクに慣れたベテランでも、不意にバランスを崩してしまうと転倒の可能性はあります。
転倒させてしまったら、バイクを起こす必要があります。
周りに誰もいなければ独りで起こすしかありませんので、バイクの引き起こしは必須の技能の一つといえます。
コツについて
よほど腕力のある人でなければ『腕の力』に頼ってバイクを起こすのは難しいです。
倒れた側に回ってハンドルを自分の方に切りながら、もう片方の手はバイクのフレームなど強度があって持ちやすい部分をしっかり握ります。(状況に応じてブレーキレバーを握る、ギアを入れる、サイドスタンドを出すなど有効な対応があります。
肝心なのは腕の力を使うのではなく、膝を伸ばす際の太ももの筋肉、背筋などの大きな筋肉に頼ることです。
若干バイクが起き上がれば胸をシート辺りに押し当てることでさらにそれらの筋肉が使えてきます。
ちなみに、教習車には『バンパー』がついており、バイクは少し起き上がった状態からの引き起こしとなりますので、実際より少し起こしやすい状況での教習となります。
細かな所作については教習所で教えてもらえますので指示に従って、上記のコツを意識すれば引き起こしはできると思います。
肝心なのは免許を取っていざ自分のバイクを乗るようになった後です。
転倒させてしまうと当然気持ちは焦ります。
教習所で習った細かな対応や上記の『コツ』がどこかに吹き飛んでしまい、起こせるバイクも起こせないどころか、変に力を入れて腰など身体を痛めることにもなりかねません。
転倒させてしまった際にはとにかく落ち着いて上記のコツを確認しながら作業にあたってください。
急制動
時速40㎞出してから決められた位置でブレーキ開始→11mの区間内でしっかり停車する
実は同じ速度で走っている状態で急制動させた場合、バイクに比べて何倍も重い自動車の方が短い距離で止まることができます。
重量が軽い方が制動には有利ですが、実際の制動にはタイヤと路面の摩擦力が関わっています。
バイクと車のタイヤの違い
- タイヤの数
- タイヤ一本当たりの接地面積
つまり、車重については軽いバイクが有利ですが、タイヤと地面の接地面積では自動車が圧倒的に有利なのです。
また、自動車には転倒のリスクが無く、安定して制動させることができます。
実際にバイクを急制動させようとすると思うように止まれません。
バイクにはブレーキが前輪と後輪にあります。
急制動をしようと何も考えずに両ブレーキを強くかけてしまうと上手くいきません。
リアブレーキを強くかけてしまうとリヤタイヤが『ロック』し、路面の上を滑ることになり、停止位置を大きく超えてしまします。
フロントブレーキを強くかけると、フロントサスペンションが沈み込み、バイクは前傾姿勢が大きくなります。
この状態ではリアタイヤに荷重がかからず、リアブレーキは効果が弱まるばかりか『ロック』もしやすくなります。
仮に停止位置まで減速することができても、大きく沈み込んだサスペンションは止まった瞬間に大きく戻ります。バイクのバランスを崩して転倒する危険もあります。
コツについて
急制動のコツは『リアブレーキの使い方』にあります。
当然、リアブレーキの『制動力』も重要なのですが、ここで必要なのはリアブレーキによる『バイクの安定』です。
リアブレーキの重要な役割はバイクを安定させることです。
リアブレーキを掛けると、ライダーや車体の重心に対して後ろ方向へ引っ張るような力がかかります。
同時にリアサスペンションも沈み込み、重心が下がることと、リアタイヤの接地が強くなることでバイクは安定します。
この状態を作り出した後に、制動力の強いフロントブレーキを掛けます。
リアブレーキによってバイクが安定しており、極端な前傾にならずに停止までバイクを安定させることができます。
リアタイヤの『ロック』も発生しづらくなります。
ちなみに・・・教習項目としての『急制動』にはもう一つ難しい点があります。
教習では所定の位置から発進し、制動開始位置までに『時速40㎞』以上に加速する必要があります。
これが意外と難しく、次工程で『急制動させて指定の距離内でバイクを停止させないといけない』
という気持ちがあると、十分な加速をすることが『心理的に難しい』のです。
これに関しては繰り返し練習し、『自信を持つ』しかありません。
メーターを見続けなくても『感覚』と『エンジンの音』で『時速40㎞』がわかるようになると、次の『急制動』に対して余裕ができます。
一本橋
長さ15m、幅30㎝、高さ5㎝の台の上をクリアタイム以上の時間をかけて落ちずに渡りきる
- 普通二輪・・・7秒以上
- 大型二輪・・・10秒以上
実はバイクを走らせるにあたって、『ゆっくり走ること』は難しいことなのです。
自転車もそうですが、速度が出ていれば安定していて転倒の心配はありません。
低速になればなるほどふらつきが発生し、まっすぐ走ることが難しくなります。
低速でありながら、バイクを安定させて走行するのが『一本橋』で求められる技能です。
コツについて
- 段差はある程度の勢いが必要
『時間をかけて渡らなければならい』という気持ちがありすぎて、低速でアプローチしすぎてしまい、段差の乗り上げ時に駆動力が足りず失敗することがあります。
加えてハンドルも安定しないため、段差に対してまっすぐ乗り上げることも難しくなります。
速度の調整は後輪が橋に乗ってからで十分です。
ここでは時間を気にせずにちゃんと乗り上げることだけに集中して大丈夫です。
- 遠くを見る
バイクが脱落しないように足元や目の前ばかりを気にすると、ふらつきやすくなります。
『遠く』と言っても景色を見るわけではありませんが、せめて一本橋のゴール地点あたりに
視線を向け、速度調整に意識を向けたほうが成功しやすくなります。
- 半クラッチとリアブレーキ
速度の調整は半クラッチとリアブレーキのみでOKです。
フロントブレーキを使ってしまうとバイクがふらつきやすく端から落ちるリスクが大きくなります。
- ニーグリップ
低速でバイクをコントロールする際にニーグリップ(膝周辺で車体を挟んでホールドすること)は重要です。
バイクを安定させて速度調整に集中することができます。
スラローム
一定間隔で置かれたパイロンに沿ってジグザグ走行(連続の切り返し)
普通8秒 大型7秒
既定の時間内に走りきる必要があります。
当然パイロンに接触してはいけません。
コツについて
アクセルオフでバイクを傾けてターン開始
ターン完了後(次のターンのポイントが見えたら)アクセルを当てると、加速とともにバイクが起き上がる助けとなります。
次のターンポイントでアクセルオフしてターンイン。
リズムが勝負です。
難易度は高いですがコツをつかむと楽しく感じられますし、
バイクの挙動の重要な部分が凝縮されている教習科目でもあります。
まとめ
免許取得のための教習科目と卒業検定の科目について、代表的なものを紹介しました。
バイクはゆっくり操縦することが難しい乗り物です。
低速になればなるほど不安定になり、二輪である以上転倒するリスクもあります。
低速でバイクを安定させるために重要なものは
- ニーグリップ(下半身とバイクの一体感が増すことで車体の安定と上半身の無駄な力が抜ける)
- リアブレーキ(後ろへ引かれるようような力とリヤサスペンションの沈み込みで車体が安定)
この二つです。
教習中、以前にできていた科目が急に上手くいかなくなったりすることもあるかと思います。
この場合も焦らずに『ニーグリップ』と『リヤブレーキ』を意識することでバイクが安定し、大抵解決できます。
そのくらい重要なことなのです。
私の経験と知識をもとに各セクションのコツを紹介しましたが、記事を読んだだけではイメージは沸きませんし、実際運転してみないとわからない『感覚』の世界も少なくありません。
人それぞれに感性が違うので、紹介したコツがしっくりこないこともあり得ます。
難しく感じることもあるかもしれませんが、安全に公道でバイクを楽しむために必要な技能と知識を身に付けるのが教習の目的です。
もちろん教官の方がその場で適切なアドバイスをしてくれますので、忠実にアドバイスに従って取り組めば必ず課題はこなせます。
頭と身体で理解し、楽しみながら教習を受けることで必ず自動二輪の免許は取得できます。
あくまで参考としていただき、皆さんの教習に少しでもお役に立てればと書いた記事ですが、一歩を踏み出す後押しになれば幸いです。